2013年1月4日金曜日

目次

  野球で、一番打者がヒットを打って一塁に行くと、次の打者は
バントをする。当然のように守備はバントシフトで守る。
 これが野球の定石だとはいえ、まるでそれ以外はダメといった
ルールのようになっている。

 この野球と同じように「孫子は戦争のルールブックだ」という
のが私の着目点であり「孫子を実戦で使えば必ず負ける」という
のが結論だ。

 大国は戦争のルールを作りたがるが、テロリストはそんなルー
ルには従わない。

 孫子は「最強の兵法」と評価され、誰もが読んで実戦で使い、
勝利することもあり、ますますその評価が高くなったことで、今
日まで残っている。しかし、相手が孫子の通りに行動するのなら、
その行動は手に取るように分かり、簡単に打ち負かすこともでき
る。

 だから、今までの孫子を解説した本は曖昧に解釈し、どちらと
も受け取れるような解説しかできない。

 孫子を書いた孫武は「二つの孫子」を思考したのではないだろ
うか。

 一つは相手に読ませて、その通りに実行させ、簡単に打ち負か
す孫子。
 もう一つは自分たちの姿を隠し、相手にその実体を見せず、相
手を自滅させる孫子。

 ここに書いた孫子は、東日本大震災が起きた後、少しでも復興
に役立つ、心の支えになる言葉はないかと孫子を読み返し、相手
を自滅させる孫子に思い当たり、解説したものだ。

 相手が人間なら人間の考えたルールに従うかもしれないが、相
手が自然だと、人間の考えたルールなど従うわけがない。
 自然を打ち負かすことはできないが、自然の力をそぎ、自滅さ
せることはできる。

 できれば、今までの孫子を解説した本と照らし合わせて読んで
みて欲しい。



【逆境に勝つ孫子

  計篇
  戦争は国の存亡  5つの備え  武器とは  相手をかく乱する
   戦争に勝つ者

 作戦篇
  長期戦  敵地調達  内部崩壊

 謀攻篇
  自滅させる  謀略で優位に  敵を魅惑する  補佐役  勝機を知る

 形篇
  勝てない態勢  勝って当たり前  勝負に集中

 勢篇
  勢いを生む  奇法と正法  勢いと時期  勢いを増す

 虚実篇
  油断させる  無形の圧力  心理戦  単独行動  条件を整える
   無形の水

 軍争篇
  迂直の計  遠征の難しさ  郷に入る  合図の道具  大衆操作
  戦争手順

 九変篇
  行動パターン  利害は一体  将軍の心得

 行軍篇
  山川沢地  軍の習性  ささいな兆候  政治腐敗  人心掌握術

 地形篇
  地形と六曜  指導者の限界  領土に価値はない  教育方法

 九地篇
  九つの症状  受け流す術  領土保全  敵を味方に  将軍の役割
   水と油を混ぜる  領民を動かす  戦争の終結

 火攻篇
  宣伝(プロパガンダ)  熱気のある火  勝って損する

 用間篇
  無用の用  扱いにくい「間」  亡国にしないために