2011年12月10日土曜日

軍争篇・戦争手順

_戦争をする手順では、
 高い丘に向かってはならない。
 丘を背にするには、逆らってはならない。
 偽って逃げるには、従ってはならない。
 優れた兵士をとがめてはならない。
 おとりの兵士に食べさせてはならない。
 帰ろうとする者を引き止めてはならない。
 囲まれた者は必ず突破しようとする。
 苦しんで他国に侵入する時は、後から追いかけては
ならない。
 これが戦争をする手順だ。

※一般的には、敵の状態によりどう対処するかといっ
た解釈をされているが、敵の利益になるとしか思えな
い。
 高い丘にいる敵を攻めてはならないのではなく、囲
んで兵糧攻めすればいいから向かって行かない。逆
に自分たちが高い丘に行くと兵糧攻めされる。
 人間関係でいえば、自分より地位が高い者には、は
むかわず、落ちぶれるのを待つ。
 丘を背にする敵を攻撃してはならないのではなく、い
ずれ攻撃してくるので、あえて攻撃する必要はなく、正
面に布陣しない。または、丘を越えて背後から攻撃す
る。
 自分たちが丘を背にしたい場合は、敵を追いかけ回
すのではなく、自分たちが背にした丘の前に敵をおび
きよせる。
 人間関係でいえば、相手に後ろ盾がいる場合は、後
ろ盾になっている者を引き離す。自分たちの後ろ盾は、
相手ともっとも対立している者にする。
 偽って逃げる敵というのは、偽っているのか、本当に
逃げているのか分からない。
 本当に逃げているようにみせるには、誰の命令にも
従わず、四方八方に逃げることだ。
 人間関係でいえば、約束してやぶれば、友達はいな
くなっていく。(悪友とは縁が切れる)
 優れた兵士を攻撃してはならないのではなく、優れた
兵士が多少の失敗をしてもとがめてはならない。ただし、
怒られ役には優れた兵士のほうがいい。
 人間関係でいえば、短所には目をつむり、長所を伸
ばす。善悪の両方を評価する。
 おとりの兵士というのは、おとりなのか分からない。
 本当のおとりにするには、食べさせず、敵に寝返って
不平不満を訴えに行くようにする。そうすれば、敵の兵
数は増えるが、兵糧は減る。
 人間関係でいえば、役に立たない者は相手に押しつ
ける。
 帰国途上の敵を攻撃してはならないのではなく、大義
名分があるのなら、禍根を残さないために全滅させる。
 味方の中で、故郷に帰ろうと臆病になっている者がい
たら勢いがなくなるので、引き止めず、帰らせる。
 人間関係にも同じことがいえる。
 敵を包囲したら逃げ道を開ける必要はない。ただし、
無謀な攻撃を仕掛けてくるので、こちらから攻撃する必
要はなく、守りを固めて弱っていくのを待つ。
 自分たちが包囲されたら、弱い部分をみつけ、一点
に集中して攻撃をし、突破する。
 人間関係でいえば、どんな困難にも必ず逃げ道はあ
る。なにも行動しないのがいちばんダメ。
 窮地に追いこんだ敵を攻撃してはならないのではなく、
いずれ疲れて勢いがなくなるので追い回さずに待つ。
 自分たちが苦しい状態で他国に侵入する場合は、後
から追いかけて行くと背後を攻撃されるので、先頭に立っ
て向かって行く。
 人間関係でいえば、行動するのなら率先してやるほう
が、多くの利益を得ることができる。


ゆえに兵を用うるの法は、
高陵には向かうことなかれ、
丘を背にするには逆(むか)うことなかれ、
佯(いつわ)り北(に)ぐるには従うことなかれ、
鋭卒には攻むることなかれ、
餌兵(じへい)には食らうことなかれ、
帰師には遏(とど)むることなかれ、
囲師には必ず闕(か)き、
窮寇(きゅうこう)には追ることなかれ。
これ兵を用うるの法なり。

故用兵之法、
高陵勿向、
背丘勿逆、
佯北勿從、
鋭卒勿攻、
餌兵勿食、
歸師勿遏、
圍師必闕、
窮寇勿迫
此用兵之法也