だから敵の中で不満のある者を味方にする。
敵の内部で奪い合えば、こちらの利益になる。
そこで、敵から資材を奪った者は、味方に引き入れ、
優遇して、武器を持たせて送り込む。
これでこちらは強くなり、敵に勝つことができる。
人は優勢なほうに集まってくる。
混乱の長引いた状態を好まない。
だから戦争に慣れた者は、敵、味方の国民の声をよ
く聴き、国に不満のある者がいないかを注視している。
※徳川家康は関ヶ原の合戦で、豊臣家の内部分裂を
利用して、敵の中で不満のある者を味方に取り込んだ。
そこまでは良かったが、功名をあせった自分の家臣
の失態で、合戦がこう着状態になった。
小早川秀秋は、天下を継承するのは家康だという時
代の流れを読んで、東軍に味方し、西軍の中で待機し
ていた内通部隊を利用して、勝利に貢献した。
ソ連の崩壊やドイツの統一も戦争で決着したのでは
なく、内部の国民からの不満が発端だった。
ゆえに敵を殺す者は怒りなり。
敵の利を取る者は貨なり。
ゆえに車戦に車十乗已上(いじょう)を得れば、そのま
ず得たる者を賞し、そしてその旌旗(せいき)を更(あら
た)め、車は雑(まじ)えてこれに乗らしめ、卒は善くし
てこれを養わしむ。
これを敵に勝ちて強を益すと謂う。
ゆえに兵は勝つことを貴ぶ。
久しきを貴ばず。
ゆえに兵を知るの将は、生民の司命、国家安危の主
なり。
故殺敵者怒也
取敵之利者貨也
故車戰得車十乘已上、賞其先得者、而更其旌旗、
車雜而乘之、卒善而養之
是謂勝敵而益強
故兵貴勝
不貴久
故知兵之將、生民之司命、國家安危之主也