2011年7月2日土曜日

謀攻篇・自滅させる

 戦争では、敵国を自滅させるのがよく、戦って滅亡さ
せるのは最終手段だ。
 軍隊を自滅させるのがよく、戦って軍隊を撃破するの
は最終手段だ。
 遠征軍を自滅させるのがよく、遠征軍を撃破するの
は最終手段だ。
 兵士を自滅させるのがよく、兵士を殺すのは最終手
段だ。
 敵国民のこちらへの不満を自滅させるのがよく、敵
国民を屈服させるのは最終手段だ。
 このことから、むやみに戦って勝つことを目的にして
はいけない。
 戦いを避けて、敵国の兵士や国民をこちらの味方に
つけることを、最優先するべきだ。

※自滅させるのは、相手の弱い部分をついて弱体化
させ、消滅に導くことが必要で、それは力ずくではない
ということだ。
 荒波は消波ブロック で弱めることができ、強風は防
風林で弱めることができる。これ以上の強いものでも
永久に続くわけではなく、いづれは止む。それまで持ち
こたえるだけの備えをしておけばいい。
 モンゴルが大帝国を築いたのも、敵国を戦いで破っ
たのではなく、文化や風習を尊重して国民を味方につ
けることを優先し、それでも反発する国は挑発して誘
い出し、自軍を撤退すると見せかけて目的の場所まで
誘導して、少数の伏兵部隊で反撃して弱体化させて
いった。
 

孫子曰く、およそ兵を用うるの法は、国を全(まっと)う
するを上となし、国を破るはこれに次ぐ。
軍を全うするを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。
旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次ぐ。
卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。
伍を全うするを上となし、伍を破るはこれに次ぐ。
このゆえに、百戦百勝は善の善なるものにあらざるな
り。
戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。

孫子曰、凡用兵之法、全國爲上、破國次之
全軍爲上、破軍次之
全旅爲上、破旅次之
全卒爲上、破卒次之
全伍爲上、破伍次之
是故百戰百勝、非善之善者也
不戰而屈人之兵、善之善者也