2011年7月16日土曜日

謀攻篇・敵を魅惑する

 だから戦争では、十割近くが味方になりそうなら囲い
込み、五割近くが味方になりそうなら強気で交渉し、敵
中に対立があり、意見がまとまりそうにないときは分断
させ、敵対するようなら武力を使い、こちらが劣勢なら
ば戦いを避けて味方のフリをする。
 このように一本調子の対応をするのではなく、強気に
出たり、下手に出たり、寛大なところを見せたりして敵
を魅惑して虜にする。

※一般的にこの文章は、「味方が十倍であれば敵を包
囲し、五倍であれば敵を攻撃し、倍であれば敵を分裂
させ、等しければ戦い、少なければ逃れ、勝ち目がなけ
れば戦わない」といった解釈がされているが、これでは
戦うことしか考えてないことになり、前記の文章を無視し
ている。(謀攻篇で記すことではない)
 謀略を優先すると言っているのだから、敵の状況によっ
て謀略や外交を駆使して柔軟に対応すると解釈したほ
うがいい。


ゆえに兵を用うるの法は、十なればすなわちこれを囲
み、五なればすなわちこれを攻め、倍すればすなわち
これを分かち、敵すれば、すなわちよくこれと戦い、少
なければすなわちよくこれを逃れ、若(し)かざればす
なわちよくこれを避(さ)く。
ゆえに小敵の堅は大敵の擒(きん)なり。

故用兵之法、十則圍之、五則攻之、倍則分之、
敵則能戰之、少則能逃之、不若則能避之
故小敵之堅、大敵之擒也