2011年10月8日土曜日

虚実篇・心理戦

 どうしても防ぐことができないのは、虚栄心をつくから
だ。
 どうしても追い越せないのは、速報性が勝っているか
らだ。
 だから短期戦をしなければいけない時、敵が厳重な
守りを固めて攻撃してこない場合でも、敵の誇りを傷つ
け、大義名分を与えれば、戦わざるおえなくなり、攻め
てくる。
 こちらが守りきりたい時、どんなに無防備でも、敵が
攻撃できないのは、伝染病の発生のような偽情報を流
し、敵が近づけないようにするからだ。

※相手のプライドを傷つければ、普通なら怒るだろう。
心はどんなに訓練しても強くすることはできない。
 独りなら耐えることができたとしても、集団が動揺する
と収拾がつかなくなる。
 特に、相手に考える暇を与えず、噂が広まるような状
況なら効果は絶大だ。
 人間は無意識に拒絶することもある。例えば、道にウ
ンチが落ちている。
 ウンチは何かをするわけではない。でも、人は避けて
通る。どんなに力の強い者でも相手にはしない。
 ウンチには「汚い」という武器がある。それが命を脅か
されるとなると、人は益々、拒絶する。
 毒をもった生き物に体を似せる生き物もいる。これら
は毒をもった生き物が危険だということを他の生き物が
知っていなければ効果がない。
 心理戦というのは、いかに情報をタイミングよく的確に
出すかにかかっている。


進みて禦(ふせ)ぐべからざるは、その虚を衝(つ)けば
なり。
退きて追うべからざるは、速かにして及ぶべからざれば
なり。
ゆえにわれ戦わんと欲すれば、敵、塁を高くし溝を深く
すといえども、われと戦わざるを得ざるは、その必ず救
う所を攻むればなり。
われ戦いを欲せざれば、地を画してこれを守るも、敵、
われと戦うを得ざるは、その之(ゆ)く所に乖(そむ)け
ばなり。

進而不可禦者、衝其虚也
退而不可追者、速而不可及也
故我欲戰、敵雖高壘深溝、不得不與我戰者、
攻其所必救也
我不欲戰、畫地而守之、敵不得與我戰者、
乖其所之也